Debian のカーネルと Linux-libre の違い

Debian のカーネル

Debian GNU/Linux が採用しているカーネルは,基本的には kernel.org のものに同期しているが,プロプライエタリのバイナリブロブは non-free に隔離されている。これらのバイナリブロブは,メタパッケージ linux-firmware-nonfree を導入することでインストールできる。linux-firmware-nonfree を構成するものをはじめとする non-free パッケージは公式には Debian ディストリビューションの一部ではないが,Debian プロジェクトが管理する non-free レポジトリで管理されている。non-free レポジトリはデフォルトでは無効化されているが,以下の条件で有効化される。

  • ユーザがインストール時にプロプライエタリのパッケージを準備・指定して読み込ませる。
  • ユーザが non-free を含む非公式のインストールメディアを使用する。
  • ユーザがインストール後に自らレポジトリに追記する。

Linux-libre

Linux-libre は FSF の友好団体 Free Software Foundation Latin America がメンテナンスしている Linux のバリエーションであり,kernel.org のものから一切のバイナリブロブを取り除いたものである。

Debian カーネルと Linux-libre の違い

技術的にはほとんど同じものであるが,主に運用の詳細や理念の点で異なる。

Linux-libre はプロプライエタリドライバの導入を推奨せず,そのための手段も用意しない

先述の通り,Debian では(デフォルトでは完全に無効化されており,有効化には明示的な操作を要するとはいえ)プロプライエタリドライバ導入の便宜のための仕組みを用意している。

一方で,Linux-libre にはそのようなものは一切ない。

なお,Debian GNU/Linux は FSF によって推奨されておらず,その理由は non-free レポジトリの存在である。

Linux-libre は標準の Linux を代替することを意図したフォークである

Debian のカーネルには独自の名称は与えられていない。あくまでも,Linux を Debian 社会契約・DFSG にあわせて修正したものである。もっとも,この修正にあたっては Linux-libre と同じ/Linux-libre のためのツールも使われているようである。

一方で Linux-libre は Linux のフォークであり,標準の Linux の代替として汎用的に使われることを意図している。

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