安物メンブレンキーボードにグリスを塗ってみる
ふと思いついて,安物のメンブレンキーボード TK-FCM103 の一部キーにグリスを塗って実験してみた。どうなるか。
全般
- パンタグラフキーボードはデリケートであるため,分解するべきではない。
- 樹脂を犯さず温度によって性質が変化しにくいシリコーングリスが最適。
- 「フッ素系」として市販されているものは実際には合成油脂のグリスに PTFE を多少添加しただけのものであり,おそらくシリコーンやリチウムと大差ない(ホンモノのフッ素グリスはべらぼうな値段がする)。樹脂への害はおそらくシリコーンより大きい。ミニ四駆用のFグリスには,その界隈ではシリコーンより耐久性が低いという話がある模様。
- なお,シリコーングリスは金属対金属の潤滑に適さないと言われるが,汎用的な市販品では通常金属にも対応するとしている(そのような配合になっているとしている)。また,シリコーンガスは接点障害の原因になる。もっとも,高熱に晒される CPU のシリコーングリスが故障に繋がることはないことから,微量であれば電子機器内にも使用できると思われる。ただしベンダはスイッチには付着させないよう説明している。
- キートップの軸部分のみに塗布した。
- メンブレンキーボードでも市販のキートップ引き抜き工具が非常に有効。使えそうな設計の物を Aliexpress で購入し使用した。
スプレー型シリコーングリス(乾式)
- 当たり前ながら、吹き付けたい個所のまわり(キートップの裏側)にシリコーンが飛び散る。失敗が怖い。
- わずかに滑らかになるが,大きな変化はなし。キートップ側だけではなく本体側にも塗布すれば変わるのかもしれないが,分解が必要(さもなければ基盤にシリコーンをぶちまけることになり,接点不良の原因になりそう)。
チューブのシリコーングリス(湿式)
- タミヤのセラグリス HG を使った。もっと割安なものもあるが,ミニ四駆やラジコン用として広く使われているため品質面で安心でき,チューブも使いやすい。
- 施工は簡単。ノズルの先でちょっと乗せるだけ。
- 大きな変化がある。
- 打ち心地はかなり滑らかになり,キーの端を押しても正常に押せることが増える。工作精度の低い 1000 円のキーボードが 3000 円相当になる感じ。
- 静音化し,カチャカチャという音がコトコトという感じになる。
- 反面,抵抗が増してキーが重くなる。潤滑される分軽くなるというわけではない。また,塗布する量にばらつきがあるとキーの重さもばらついてしまう。また,重さが変わるため,Enter などの大型キー以外では塗布しないキーと塗布するキーを混在させることはできない。
- ホコリが付きやすくなると思われる。
塗り方のコツ(メンブレン)
- 軸の角に塗布する。わざわざ展ばす必要はなく,ゴマ粒ほどの量を四隅の軸の先(向かって手前)に乗せておけば勝手に広がる。
- 上述のとおりキーが重くなるので,最低限の量にするべき。
結論
- ミスタイプだらけで使い物にならないキーボードが,いちおう使える程度に改善した。ただし腱鞘炎はむしろ近づいた。
- いちおう多少の効果はあるが,手間には見合わないので,最初からマトモなキーボードを購入したほうがよい。
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